夜明けまえ

夜が明ける直前が、すごくすき。
空がしらんでくる頃、それはほんの一時。
陽が出る前の、暗いでも明るいでもない世界。
その一時に、ベランダから空を見たり
外を歩いたりするのがすき。
まだ街が動き出していない、動き出す直前の
あの静けさがすき。匂いがすき。
まるで世界に自分が一人になったような、
それでいて孤独とは違う、安らぎがいい。
そうして少し経つと、だんだん東の空が明るくなってきて、
いつもの一日がはじまる。
あけぼのは、ほんの一瞬だ。