サイレンの歌

夜中のバイパスをひた走るのがすき。助手席に座って。
そしてそれと同時に、夜に点滅する鉄塔の小さな明かりが、ものすごくすき。
片田舎の実家ではそんな光景はみられないのだけど。
どうしてこんなにすきなんだろう。
うまく説明できないけど、哀しくて、懐かしくて、すき。
ゆっくりと、誰にも気づかれないように
息をひそめて呼吸をしているかのよう。
光の点滅。鉄塔の骸骨。
夜にだけあらわれる、ひとつの世界。
夜空を飛ぶ飛行機もつけたしておこう。
次に引っ越すところも、ベランダに出たら
遠くに点滅する光が見えたらいい。